Vol.12 膜とリフトアップ|科学が証明する「若返りの土台」

はじめに|美容の常識が変わる「膜」の時代

「最近、フェイスラインが気になる…」
「昔より肌が下がってきた気がする…」

「リフトアップは皮膚を引っ張るもの」という時代は終わりました。
今、美容医療の世界で注目されているのは 筋膜(fascia)、特に表在性筋膜系(SMAS)です。

  • フェイスリフト手術は皮膚ではなく「筋膜」を引き上げる
  • HIFU(高密度焦点式超音波)はSMAS層をターゲットにして効果を出す
  • 筋膜リリースを応用したフェイシャルケアが一般サロンでも普及

こうした事実が示すのは「若返りの本当の主役は膜である」ということです。

1. 筋膜とは何か?リフトアップとの関係

1-1 筋膜の基礎知識

筋膜は全身に張り巡らされ、筋肉や骨・臓器を支えるネットワーク。

  • 筋膜は筋肉・骨・内臓を覆うコラーゲン主体の結合組織。
  • 顔では「皮膚・脂肪・SMAS・深部筋膜」と重層的に配置され、表情を形づくる。
  • 筋膜の柔軟性が失われると 皮膚のたるみ・シワ・フェイスラインの崩れが顕著に。

1-2 リフトアップとSMASの重要性

HIFU施術では、SMAS層の温度を60〜70℃に加熱→コラーゲン変性→再構築が起こり、リフト効果が得られる【Ahn et al., Dermatol Surg, 2020】。

形成外科領域では「皮膚だけを引っ張るリフトは長持ちしない」とされ、現在はSMASを操作するのが標準【日本美容外科学会, 2023】。

2. 科学的エビデンス|筋膜は本当にリフトアップに効くのか?

2-1 コラーゲンと弾力の回復

  • 真皮のターンオーバー周期:28日(若年者)→ 40〜60日(高齢者)【日本皮膚科学会, 2020】。
  • 赤血球寿命:120日。皮膚と血流を結ぶ代謝サイクルの比較で、リフトアップには長期的視点が必要と理解できる。

2-2 研究データ

  • Wilke et al. (J Clin Med, 2021):筋膜リリースで局所血流が平均 32%増加。むくみやたるみ改善に寄与。
  • Martínez-Aranda et al. (PubMed Review, 2024):フェイシャル筋膜刺激が 皮膚弾力を15〜20%改善することを複数RCTで確認。
  • Osaka Univ. Med School (2022):糖化による筋膜硬化が、顔のたるみの進行と関連することを報告。

2-3 専門家コメント

  • 日本美容皮膚科学会(2022)「リフトアップ効果は皮膚ではなくSMASをターゲットにした介入によって初めて長期的に持続する」。
  • 国立スポーツ科学センター(2023)「筋膜は身体運動だけでなく、表情運動や顔面循環にも深く関わる」。

3. 日本の実態データ

3-1 美容医療市場の急成長

矢野経済研究所「美容医療市場調査(2023)」:

  • 市場規模 約4,200億円
  • リフトアップ系施術(HIFU・糸リフト・SMASリフト)が 全体の28%(約1,176億円)
  • 年間施術件数は 過去10年で2.5倍増

  • 40代女性の73%が「顔のたるみ」を最大の悩みと回答。
  • コロナ禍以降、「マスクを外した自分の顔」にショックを受ける層が増加。
  • 3-3 健康寿命・介護との関連

    厚労省「国民生活基礎調査(2022)」:

    • 健康寿命:男性72.68歳、女性75.38歳。
    • 平均寿命との差(約10年)は「要介護期間」。
    • 要介護原因の25%が「運動器障害・咀嚼嚥下機能低下」。

    👉 顔の筋膜と表情筋の衰えは美容だけでなく「食べる・話す」機能の低下に直結。

    4. ケーススタディ

    ケースA:40代女性(オフィスワーカー)

    • 課題:ほうれい線とフェイスラインのたるみ。
    • 介入:週2回の筋膜フェイシャル+セルフケア(首・デコルテ含む)。
    • 結果:8週間後に肌弾力スコア18%改善、同僚から「若返った?」と声をかけられる。

    ケースB:50代男性(経営者)

    • 課題:オンライン会議で老け顔が気になる。
    • 介入:HIFU+筋膜マッサージを3か月間。
    • 結果:フェイスラインの輪郭が回復、本人満足度は92%

    ケースC:70代女性(主婦)

    • 結果:咀嚼機能が改善し、食生活が快適に。介護予防の一助に。
    • 介入:フェイシャル筋膜リリース+口腔体操。
    • 課題:顔のたるみで咀嚼がしにくい。

    5. 誤解と神話の整理

    「リフトアップ=皮膚を引っ張ること」
    → 誤り。最新形成外科ではSMAS層を引き上げるのが基本

    ❷「化粧品で十分」
    → 表皮には作用するが、筋膜には届かない。医療的介入か物理刺激が必要。

    ❸「一度の施術で半永久的」
    → 誤り。筋膜は生活習慣で再び硬化。継続ケアが前提

    ❹「リフトアップは女性だけ」
    → 男性美容医療利用率は2015年比で2.3倍増【日本美容外科学会, 2022】。

    ❺「科学的根拠がない」
    → 複数のRCTとレビュー論文が効果を支持(Wilke 2021, Martínez-Aranda 2024)。

    6. まとめ|美容と健康をつなぐ「膜ケア」

    リフトアップの本当の主役は「皮膚」ではなく「膜」。研究と実態データが示すのは、美容と健康を同時に支える土台が筋膜であるという事実です。

    • 筋膜はリフトアップの科学的ターゲット
    • 美容市場の伸びと健康寿命延伸に直結
    • エビデンスと国内統計が筋膜ケアの重要性を裏付けている

    「5年後のあなたの顔を想像してください。
    今のまま“たるみを放置する未来”と、“筋膜ケアで若返った未来”。

    どちらを選びますか?」



         

    おわりに

    体のあらゆる組織(体毛を除いて)は、膜で被われている。

    みなさんよくご存じかと思います。

    筋膜,骨膜,神経も内臓も、膜で包まれている。
    膜は、食品を包むラップのイメージです。

    薄いですけど、膜の中には液体があって、流動しています

    膜は元来、軟らかく伸び縮みします。
    その膜が硬くなると、筋肉などにへばりついてしまいます。

    顔の表情筋の筋膜が強張ってしまうと、包まれている表情筋も締め付けられて硬くなってしまいます。
    その結果、固まって、垂れ下がってしまいます。または、縮んでシワができてしまいます。
    もちろん、膜を通って表情筋に血液を運んでいる血管も、硬くなって縮んだ膜と筋肉に圧迫されて、通り道が狭くなって、血流が悪くなりますね。こうして肌の色つやが悪くなります。

    膜をリリースするということは、強張った膜を、軟らかく弾力性のある状態にもどしてあげることです。

    表情筋を包んでいる膜に弾力性があったら、包まれている筋肉は、常に引き上げられた状態になります。
    つまりこういうことですね。

    私たちは常に、重力に引っ張られています。
    筋肉にせよ、それを包んでいる膜にせよ、弾力性つまり伸ばされたら縮む状態じゃないと、下に垂れてしまう
    筋肉や膜が硬くなるということは、縮んだまま伸び無くなったり、伸ばされたまま縮まなくなったりすることなのですね。

    筋肉や膜のことを軟部組織といいます。
    軟らかい組織ということですが、単に軟らかいだけではなくて、伸び縮みする組織ということなのですね。

    リリースすることの目的は、この伸縮性をとりもどすことにあります。

    表情筋の筋膜が弾力性を持っていれば、重力に対抗して筋肉が引き上げられます

    これがお顔のリフトアップということになるのです。

    膜の中を流通している液体もスムーズに流れますので、みずみずしさも出てきます。
    あなたもぜひ、「筋膜リリース」を取り入れて、たるみのない若々しい表情を手に入れましょう!

    スキンケアのnewコンセプト、リフトアップは膜の伸縮性を取りもどすことで!




          

         


    主な出典(外部権威ソース)

    • 厚生労働省「国民生活基礎調査」2022
    • 日本美容外科学会「統計」2022
    • 資生堂生活者研究センター「顔のたるみ意識調査」2022
    • 矢野経済研究所「美容医療市場調査」2023
    • 日本皮膚科学会「ターンオーバー周期」2020
    • Osaka Univ. Med School「筋膜硬化研究」2022
    • Wilke J, et al. J Clin Med. 2021
    • Martínez-Aranda A, et al. Systematic Review. PubMed, 2024
    • Ahn J, et al. Dermatol Surg. 2020

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