“不安”な言葉 vs “安心”の言葉 犬の心が受け取っているものとは?

「この子、私の気持ちを読んでる気がする…」

犬と暮らしていると、ふとそんな瞬間がありませんか?
怒っていないのにしょんぼりしていたり、嬉しいことがあるとこちらより先に尻尾を振っていたり。実はワンコたちは、私たちが発する“言葉”だけでなく、その気持ちの波動やトーン、エネルギーを敏感に感じ取っているのです。

この記事では、「不安」と「安心」を伝える言葉の違いが、ワンコの心と体にどう影響するかを、科学的な視点も交えて解説します。

ネガティブな言葉はなぜ伝わってしまうのか?
逆に、どんな声がワンコに安心感を与えるのか?

“泣ハッピー”な毎日を過ごすために、今日から使いたい言葉と、避けたい言葉の選び方を紹介します。言葉で変わる、あなたとワンコの心の距離。読み終わったころには、もっと愛おしい時間が増えているはずです。

ワンコの“心のセンサー”は、飼い主の言葉の“エネルギー”を受け取っている

ワンコは言葉そのものよりも、その言葉が持つ感情エネルギーを感じ取り、反応しています。

たとえば、
「どうしよう…」
「ごめんねばっかりでごめんね」
「ちゃんとできてなくてごめんね」

そんな“自責”の言葉を繰り返すと、ワンコは飼い主の不安や罪悪感を敏感に察知し、落ち着かなくなったり、体調を崩したりすることがあります

一方で、
「ありがとうね」
「大丈夫だよ」
「いてくれて嬉しいよ」

などの**“安心の波動”を持つ言葉**をかけられると、ワンコはしっぽを振り、耳をリラックスさせ、心拍も落ち着きます。

つまり、私たちが選ぶ“言葉の質”によって、ワンコの情緒や体調は大きく変化するのです。
このあと、「なぜワンコはこんなにも敏感なのか?」という理由を、行動学や脳科学の観点から解説していきます。

なぜ犬は“声のエネルギー”に敏感なのか

犬の“共感力”は想像以上に高い

 犬は人間の声の高さやトーンの変化、表情のわずかな動きまでを読み取る能力に長けています。

2016年、ハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学の研究チームは、MRIを用いて犬の脳が人間の声をどう処理しているかを分析しました。その結果、人間と同じように「喜び」や「怒り」などの声の抑揚を感じ取る領域が脳内に存在することが判明しています。

つまり、ワンコは私たちが何を話すかだけでなく、“どう話すか”にもしっかり反応しているのです。

ネガティブな言葉がワンコに与える“無意識ストレス” 

飼い主が不安そうに「どうしよう」「ごめんね」と繰り返すと、その声の震えやため息までもが、ワンコにとって**「何かが起こっている」**という緊張のサインとして伝わってしまいます。

これが繰り返されると、ワンコは落ち着かない、眠れない、ごはんを食べないなどの症状を見せ始めることも。

“安心の声”は神経系をリセットする

 一方で、「大丈夫」「ありがとう」「うれしいな」という言葉は、ワンコの自律神経にポジティブな刺激を与えます。副交感神経が優位になり、呼吸や心拍が安定。体の緊張が緩み、リラックスモードに入ります。

これはまさに、“声によるヒーリング”。 言葉の力で、ワンコの身体のスイッチを切り替えることができるのです。

安心の言葉を“伝える習慣”に変えるには?

日常でできる“声かけシチュエーション”3選

  1. おはようのひとこと
    「今日も元気でありがとう。会えてうれしいよ!」
  2. お留守番の前に
    「ちょっと行ってくるね。大丈夫、すぐ帰ってくるからね」
  3. 寝る前の時間に
    「今日も一緒にいてくれてありがとう。おやすみなさい」

このように、何気ない日常の中で意識的に“安心の言葉”をかけていくことで、ワンコはあなたの気持ちを“安全な愛情”として受け取るようになります。

言葉選びの工夫で“共鳴”を深める

  • 「また失敗しちゃったね」→「でもがんばったね!」
  • 「なんで吠えるの!」→「何か言いたいんだね、教えてくれてありがとう」

伝えたいことを“ポジティブ変換”して声に出すことで、ワンコとの共鳴が深まり、信頼関係が強まります。

感情が揺れたときの“ひと呼吸”ルール 

飼い主だって人間。感情が乱れる瞬間もあります。
そんな時は、まず一呼吸置いて「大丈夫、私は愛してる」と自分に言ってみてください。

その優しい言葉は、あなたを癒し、ワンコにも自然と届く“愛の波動”になります。

ワンコの心は、あなたの“言葉の選び方”で変わる

飼い主がどんな言葉を日常的に使うかによって、ワンコの感じる安心感は大きく左右されます。

「どうしよう」「またダメだった」ではなく、「ありがとう」「大丈夫」「いてくれて嬉しいよ」と声に出して伝える。それだけで、ワンコの心はふっとやわらぎ、安心して深呼吸ができるようになるのです。

言葉は目に見えないけれど、確実に“空気”をつくります。
そしてその空気の中で生きているワンコにとって、あなたの一言は薬にもなり、抱擁にもなり、明日を楽しみにする理由にもなります。

だからこそ、どんなに忙しくても、完璧じゃなくても大丈夫。
まずは今日、
「ありがとう」
「大丈夫だよ」

を一つ、意識して伝えてみてください。

それだけで、あなたとワンコの世界が、少しだけあたたかく変わります。

言葉の選び方が、ふたりの未来をあたたかくする

人間同士でも、何気ない言葉が心を支えたり、傷つけたりするように、ワンコもまた“言葉の雰囲気”をしっかり受け取って生きています。

「うちの子が最近落ち着かない」
「病院に行っても異常はないのに元気がない」
そんな時、飼い主自身の気持ちや言葉を一度見つめてみることも、大きなヒントになるかもしれません。

もちろん、飼い主だって完璧じゃなくていい。
大事なのは、ワンコと向き合おうとする“心”と、それを伝える“ことば”です。

だからこそ、“不安”や“罪悪感”からくる言葉よりも、“安心”や“感謝”の言葉を意識して届けていく。

そうすることで、ワンコはますますあなたを信じてくれるようになります。

そして何より…

飼い主自身も「言葉を選ぶ」ことで、心が軽くなり、ワンコとの関係がもっとあたたかいものになるのです。

言葉は、愛情のスイッチ。
今日から少しずつ、“伝える愛しさ”を言葉にのせて、ワンコに届けてみませんか?

その一言が、未来をつくっていきます。

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事

ワンコの皮膚がベタベタする理由 東洋医学で読み解く“湿熱”とは?

ワンコとヒトの絆はオキシトシンが鍵?愛情ホルモンの化学的な効果

ワンコに伝わる“手のぬくもり”。タッチが変える心と体のケア

ワンコはお手入れが好き?嫌い?科学が教えるグルーミングのストレスと快適性

SDMA検査で「経過観察」と言われたワンコに、今こそ東洋医学的ケアを

草や便を食べる原因は!?東洋医学的な視点でワンコの不調を感じる方法

「ぴょんぴょん走る」がかわいいだけじゃない理由とは?うさぎ跳びの本当の意味

姿勢からわかる健康状態!短足犬の体チェックガイド

【筋膜ケアでペットの未病を!】健康寿命を延ばすための新習慣

PAGE TOP