Vol.39 現代日本人の根底にある憂い

なぜ「身体の柔らかさ」が健康寿命を左右するのか?筋膜・循環・ゆるみの真実

「日本人は世界一の長寿国」と聞くと、誰もが誇らしい気持ちになりますよね。
けれど現実には、病気や不調を抱えたまま過ごす“健康ではない寿命”も同時に伸び続けています。特に、肩こりや腰痛、慢性的な疲れやストレスは、多くの女性を悩ませる日常のテーマ。

本記事では、見落とされがちな「身体の柔らかさ(=ゆるみ)」に注目し、筋膜・循環・予防ケアの観点から、健康寿命を延ばすヒントを解説します。

身体を「ゆるめる」ことが健康の鍵

結論から言えば、私たちの身体は柔らかさを失うほど健康もパフォーマンスも低下するということです。
筋膜が硬くなると血流やリンパ循環が滞り、疲労や痛みの原因に。逆に柔軟でゆるんだ身体は、巡りが良く、自然治癒力が働きやすくなります。

身体が硬くなることで起こる悪循環

歴史から見える「柔らかさ」の違い

江戸時代の庶民や飛脚の身体は、今より驚くほど柔らかかったと記録されています。

写真や浮世絵を見ると、自然な姿勢やしなやかな体つきが印象的です。
時代が進むにつれて、生活様式が変わり、身体の硬化とともに新たな生活習慣病が増えてきました。

科学的根拠―筋膜と循環の関係

最新の研究では、筋膜の柔軟性が循環機能と直結していることが分かっています。


筋膜が硬化すると血流・リンパの流れが滞り、酸素や栄養素が細胞に届きにくくなり、老廃物の排出も妨げられます。これが肩こりや腰痛、冷え、むくみ、さらには免疫力の低下につながります。

柔らかさを取り戻す方法

日常生活での気づき

  • 「前屈で床に手が届かない」
  • 「朝起きると体が重い」
  • 「デスクワークで肩や首がすぐにこる」

これらは身体が硬くなり、巡りが滞っているサインです。

改善策・アドバイス

  • 軽いストレッチやウォーキングを習慣にする
  • 入浴で血流を促進し、筋膜を温めてやわらげる
  • メディセルなどの筋膜ケア機器を使って、深部の癒着をリリースする

科学的裏付け

ペインクリニックやスポーツ医学では「体をゆるめること」が痛み軽減やパフォーマンス向上に役立つと報告されています。特にメディセルの研究では、施術後に循環が改善し、直腸温度や血流が有意に上昇する結果が確認されています。

1. 筋膜は「全身タイツ」のような存在

私たちの身体には、筋肉や内臓を包む「筋膜」という膜があります。イメージで言うと、体全体を覆っている全身タイツのようなもの。
この筋膜がしなやかだと、血流やリンパの流れがスムーズで、体も軽く動きます。
でも、長時間のデスクワークや運動不足で筋膜が硬くなると、血の巡りが滞り、肩こり・腰痛・冷えなどの不調が出やすくなるんです。

2. 温めて・動かすと「潤滑油」が働く

筋膜の間にはヒアルロン酸(HA)という“潤滑油”のような物質があり、これがサラサラだと筋膜はよく滑ります。
ところが、じっとしているとこの潤滑油がベタつきやすくなり、動きがぎこちなくなります。

逆に、体を温めたり、軽くストレッチをしたりするだけでサラサラ度が上がり、動きがラクになるんです。

3. 吸引刺激(メディセルなど)がめぐりを助ける

「カッピング」や「メディセル」のように皮膚をやさしく吸い上げる刺激は、血流を一時的にグッと増やす効果が観察されています。
実際、施術後に皮膚の温度が上がるというデータもあり、巡りが良くなることが数字でも裏付けられています。

4. 筋膜は“痛みを感じる”センサー

最近の研究でわかってきたのは、筋膜そのものに神経のセンサーがたくさんあるということ。

つまり、筋膜が硬くなると「痛み」として脳に伝わりやすいんです。
だから「硬さ=不調の原因」というのは、感覚的なものではなく科学的にも根拠があるんですね。

5. 生活習慣が筋膜のしなやかさを左右する

甘いものの摂りすぎや運動不足は、筋膜を硬くするリスクがあります。逆に、軽い運動・バランスの良い食事・しっかり睡眠が、筋膜の“柔らかさ”を保つ一番の方法です。

まとめ

私たちが健康寿命を延ばすために必要なのは、「鍛える」ことだけではありません。
むしろ 身体を“ゆるめて柔らかさを取り戻す”こと が、これからの時代の健康戦略の中心になるでしょう。

赤ちゃんやトップアスリートの身体に共通するのは、圧倒的な柔らかさです。

硬直した筋膜や滞った循環では、本来の能力を発揮できません。
逆に、柔らかさを持つ身体はエネルギーの巡りが良く、心の安定にもつながります。

江戸時代の庶民の身体が今よりも柔らかく、生活習慣病が少なかった背景を思えば、私たち現代人が抱える不調の多くは「硬さ」が原因であることに気づけるはずです。

ここで大切なのは、「自分の身体は硬くなりやすい」という前提を理解すること。そのうえで、毎日の小さな習慣に「ゆるめる」時間を組み込むことです。

ストレッチ、深呼吸、入浴、そしてメディセルのような予防ケア。
これらはすべて、未来の健康を守るための投資です。

問題は、「気づかないまま硬さが進行する」ということ。

だからこそ、気づいた今この瞬間から行動を始めることが、未来の自分を救う一歩になるのです。

おわりに

みなさんよくご存じですが、日本人の健康の問題は深刻ですね。
平均寿命は世界一ですが、病気や障害を持って生活している人たちがたくさん。精神的な問題を持つ人も増えています。正確に言うと、増える一方。

子どもの心の健康も、深刻さを増していますね。
こうした状況の原因や背景には、色々な事があります。
これからお伝えしたいのは、現代日本人の身体に起きている、意外に気づかないひとつの現象です。

現代から時代を遡って明治時代、さらに遡って江戸時代。
その時代ごとに遺されている写真や肖像画や、江戸時代では浮世絵などを観てみましょう。
「昔の人の方が、身体に軟らかさ(柔らかさ)を感じる。」
このコラムでも、トップアスリートの筋肉は、驚くほど軟らかいことをお伝えしました。まるでマシュマロや赤ちゃんや身体みたいに。

ハイパフォーマンスの必要条件が、この格段に軟らかい身体
そして、身体の専門家が指摘するところによると、特に江戸時代では、庶民に至るまで軟らかい身体をしていたと。
確かに、時代が下るにつれて、それ以前には無かった疾病が増えてきていたり。

運動能力に関しても、江戸時代の飛脚に象徴されるように、驚異的な距離を日常的に移動していたり。

こうした時代の経過に伴う健康状態や能力の悪化や衰えの原因が、時代と共に身体が硬くなっていったことにあるとは、身体や運動の革新的な研究者などが指摘するところです。
私たち個人が生まれてからのプロセスを考えてみても、当然ながら赤ちゃんの時はとても身体は軟らかく、長ずるにつれて、硬くなっていきます。

運動能力も、筋力や有酸素能力などは別として、純然たる身体の動きに関しては、小学校高学年や中学生期では、とても良い動きをしますが、20代後半を過ぎると、動きの質が低下していき、年齢と共に衰えて高齢期を迎えます。
健康状態については、言うまでもないでしょう。

こうした変遷は、明らかに、身体の軟らかさ・硬さの変化に同調したと考えられる訳です。

身体が硬くなるプロセスは、本人が気づきにくく、慢性的に進行します。
歳と共に身体のコリを訴える人たちが急増しますね。痛みを訴えるケースも増える。そうした時に、「体が硬くなった。」と実感したり。時々、前屈をやってみて感じるとか。

しかし、身体の軟らか・硬さは、私たちの身体の全組織に起きるものです。
身体組織の軟らかさ・硬さに直結した概念が「身体のゆるみ」です。ところがこの「ゆるむ。」、そして「ゆるめる。」について、まちがった理解や、浅い捉え方がもっぱらになってしまっています。

実は、人間の健康や能力は、身体のゆるみと切っても切れない関係にあるのです。それは動物も同じです。

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