Vol.13 筋膜リリースとストレッチングって同じ?

「筋膜リリースとストレッチって同じもの?」
答えは 「違う!」 です。

では、具体的にどう違うのでしょうか?

結論から言うと、
• 筋膜リリース → 筋膜の癒着を解消し、筋肉の動きをスムーズにする
• ストレッチ → 筋肉を伸ばして柔軟性を高める

つまり、目的もメカニズムも違う のです。

この違いを分かりやすく説明するために、「筋トレ」と「ジョギング」を例に考えてみましょう。
• 筋トレ → 筋力を高める(筋繊維を太くし、動員する筋繊維の数を増やす)
• ジョギング → 持久力を高める(心肺機能や筋肉の酸素利用能力を向上させる)

どちらも運動ですが、目的とメカニズムが異なります。

同じように、筋膜リリースとストレッチも、どちらも「体を柔らかくする」ものではありますが、働き方が違うのです。

① 筋膜リリースとは?

筋膜リリースは、筋肉を包む「筋膜」の癒着を解消し、伸縮性を改善する ことが目的です。

私たちの筋肉は、筋膜という膜に包まれた状態 で存在しています。
この筋膜が硬くなり、筋肉に張り付いた状態になると、筋肉の動きが悪くなり、可動域が制限されたり、コリや痛みの原因 になります。

筋膜リリースでは、この筋膜を柔らかくして、筋肉がスムーズに動ける状態を作り出す のがポイント。

② ストレッチとは?

ストレッチの目的は、筋肉の伸展性を高め、関節の可動域を広げること です。

筋肉は、急に引き伸ばされると、反射的に縮もうとする性質を持っています。
これを 「伸展反射」 と言います。

ストレッチを続けることで、この反射の閾値が上がり、筋肉がより長く伸びるようになる のです。

また、ストレッチを行うことで血流が促進され、疲労回復やケガの予防にも効果 があります。

筋膜リリースとストレッチは、それぞれ異なるアプローチですが、組み合わせることでより高い効果 が期待できます。

例えば、
• 筋膜リリースを行ってからストレッチをすると、筋肉が伸びやすくなり、柔軟性向上の効果が高まる
• 筋膜リリースを行ってから筋トレをすると、筋肉の可動域が広がり、トレーニングの効率が上がる

そのため、効率よく筋膜リリースを行うことが、ストレッチや筋トレの効果を最大化するカギ になります。

項目筋膜リリースストレッチ
目的筋膜の癒着を解消し、筋肉の動きをスムーズにする柔軟性を高める
メカニズム 筋膜の伸縮性を改善し、筋肉の動きを阻害する要因を取り除く伸展反射の閾値を変化させ、筋肉がより長く伸びるようにする
主な効果可動域の向上、コリや痛みの軽減、動作のスムーズさUP柔軟性の向上、ケガの予防、疲労回復
組み合わせ効果ストレッチや筋トレの効果を高める筋膜リリース後に行うことで、より柔軟性が向上


効率的な筋膜リリースで、パフォーマンスを最大化しよう!

筋膜リリースとストレッチは「似て非なるもの」。
正しく理解し、効果的に組み合わせることが、スポーツや健康維持にとって非常に重要 です。

特に、効率の良い筋膜リリースを短時間で行うことで、ストレッチや筋トレの効果がさらにアップ します。

筋膜リリースは筋膜をリリースするものであり、ストレッチングは筋肉の伸展性を高めるもの。」ということです。

それは、筋トレが筋力を高めるものであり、ジョギングは有酸素能力を高めるものであるというのと同じ。

時々「ジョギングをやって足腰を鍛える。」と言っている人がいますが、相当運動不足や足腰の弱い人だと、ジョギングをすることで、初期の段階では足腰の筋力が強化されるでしょうが、それ以上ではありません。

筋力が高まるということは、筋肉の線維が太くなるとか、力を出す筋肉の線維の数が増えるというメカニズムです。
有酸素能力が高まるということは、心臓の拍出量が増えるとか、筋肉での酸素の利用能力が増えるということです。

メカニズムが違います。

こうした原則を、特異性といいます

筋膜をリリースするということは、筋肉の線維の束を包んでいる膜を軟らかくして、伸縮性を良くして、筋肉の線維に張り付いた状態を解除するというのが、そのメカニズムです。
ストレッチングによって、筋肉の伸展性が改善され、関節可動域が大きくなるということは、筋肉を伸展したときに自動的に働く、伸展反射の作用を変化させるということです。

つまり、筋肉は伸ばされると縮もうとする。これが伸展反射。

この反射が即座に作用すると、筋肉はそれ以上伸びなくなります。この反射が相当伸ばされてから作用するように変化したら、関節可動域も大きくなります。

これが、筋膜リリースとストレッチングのメカニズムの違い。

もちろん、ストレッチングによって、少しは筋膜のリリースも起こります。
しかし、それはストレッチングの副産物であり、その効果は限られています。

もちろん、筋膜リリースを行ってから、ストレッチングを行うと、ストレッチングの効果も高まります。

同じく、筋膜リリースを行ってから筋トレを行うと、筋トレの効果が高まる可能性は高いです。

こうした場合に、ストレッチングや筋トレを十分に行うためには、筋膜リリースを短時間で効率的に行う必要があります

効率の良い筋膜リリースは、色々な運動や施術の効果を高めるのに、大いに役立ちます。

あなたも今日から、筋膜リリース+ストレッチの組み合わせ を実践して、柔軟でしなやかな体を手に入れましょう!

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