Vol.11 「膜」の重要性が世に出たのは?

近年、筋膜(fascia)の研究が医科学の分野で急速に進んでいます。
筋膜へのアプローチが、さまざまな疾患・外傷・障害の治療やリハビリに効果的である ことが分かり、医学界でも注目を集めています。

これまで、筋肉や骨に比べて筋膜はほとんど研究されてきませんでした。
その理由は単純で、筋膜を科学的に研究する方法が確立されていなかった からです。

しかし、研究技術が進化したことで、筋膜が身体の機能や健康に大きな影響を与えている ことが明らかになってきました。

とはいえ、筋膜の重要性は「今になって初めて分かったこと」ではありません。
実は、1600年以上前に、中国・少林寺ではすでに筋膜の働きに気付いていた のです!

少林寺に伝わる伝統的な教えの中に、「易筋経(えききんきょう)」 という書物があります。
これは、あの「ダルマ(達磨)」が記したとされる、身体の鍛錬法や健康法を説いた重要な文献 です。

達磨は、インドから中国に渡り、禅の教えを広めた実在の僧侶。
彼の名前は、日本でも「ダルマさんが転んだ」のダルマとして親しまれていますよね。

この「易筋経」には、筋膜を含む『膜』が生命にとって極めて重要な役割を持つ と書かれているのです。

しかも、筋肉や骨の健康だけでなく、精神状態までもが膜によって影響を受ける という驚くべき内容が記されています。

これは、現代科学がようやく解明し始めた筋膜の役割と一致しています。

達磨は、おそらく自身の修行を通じて、そしてインドの伝統医学の知識をもとに、筋膜の働きに気付いた のでしょう。

実際、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」や中国医学(中医学)では、古くから筋膜の概念に通じる考え方が存在 していました。
それが、何世紀もの間、伝承され続け、少林寺の「易筋経」にも受け継がれたのです。

人類の歴史を振り返ると、「最新の科学が解明した」と思われていることの中には、すでに何千年も前から知られていたものがある ことが分かります。

筋膜の重要性もその一つ。

現在、筋膜リリースや筋膜治療が注目され、多くのアスリートや医療従事者がその有効性を実感しています。
しかし、これは「新発見」ではなく、古代の叡智と現代科学がようやく交差した結果 なのかもしれません。

私たちの体にとって、筋膜を健康に保つことがいかに大切か。
今後の研究がさらに進めば、筋膜が持つ驚くべき力が、より多くの人々の健康やパフォーマンス向上に役立つ時代が来る でしょう。

ここのところ、医科学の分野で、筋膜の研究が進んできています。

様々な疾患や外傷・障害などの治療やリハビリで、筋膜に対してアプローチすることの有効性が研究されています。

そして、それらの治療方法も色々と。

今まで、筋肉や骨の方が、圧倒的に注目されてきていましたが、筋膜に対しては、ようやくという感じです。

その理由は、筋肉や骨の研究方法は早くから確立していましたが、筋膜を研究する方法が、開発されていなかったから。

研究とはそうしたものです。

研究方法ができあがっていないと、研究は行えないのです。

ですから、まだまだ、身体について研究されていないことは、驚くほど多いのです。

脳とかは、まだまだ研究できない領域が大きいのです。

そうした訳で、ようやく筋膜に光が当てられてきました。

しかし、実は、筋膜を含めた膜の重要性が、今からさかのぼること約1600年前、中国は少林寺に伝えられていました。これは紛れもない、歴史上の事実です。

少林寺に遺された「易筋経」という文献に、膜の重要性が説かれているのです。

書いたのは達磨。そう、あの「ダ~ルマさんが、こ~ろんだ。」の達磨です。
達磨は、実在した仏教の僧侶で、インドから中国に渡って、禅を伝えた人物です。

易筋経には「生命にとって膜が大きな役割を持っている。」と説かれています。

筋骨格系だけではなく、人間の色々な身体の状態や機能が、膜の状態によって、大きく影響されるというのです。

さらに、精神的な状態までもが。

おそらく、達磨は、自らの修練を通じて、そしてインドの伝統的な伝承医学などの知識などから、膜の働きを見出していたのでしょう。

人類の何千年もの歴史の中で、今の科学がようやく気付き始めたこと、まだ見出されていないことで、人類が既に気づいていることは、実は多くあるのです。

膜もその一つ。

あなたも今から、筋膜ケアを取り入れてみませんか?

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

最近の記事 おすすめ記事
  1. 梅雨は“脾”が弱る季節?飼い主とペットに訪れる体調のゆらぎと対処法
  2. 犬のハァハァが止まらない本当の理由 クーラーだけじゃ防げない内熱とは?
  3. 「むくみ=水毒」の本質。春〜梅雨に要注意なおうちのこの体のサインとは?
  4. Vol.32 痛みと皮膚の深い~関係
  5. 免疫の70%は腸にある!ワンコの“脾”と腸を育てるごはん術
  6. 春はイライラ注意報?肝と季節、ワンコのストレスケア習慣
  7. ワンコの体質診断:陰陽でわかる未病予防と健康管理法
  8. Vol.31 心身一如
  9. 犬の腸と免疫は“脾”で整える?梅雨のだるさ・食欲不振に効く養生ケア
  10. ワンコの皮膚がベタベタする理由 東洋医学で読み解く“湿熱”とは?
  11. 落ち着きのないワンコは“肝”が疲れている?感情と筋肉をつなぐ東洋医学の視点
  12. 神経疲労の新常識 筋膜・循環を整える本当の“回復力”
  13. Vol.30 かの有名なオスグッド・シュラッター病
  14. 引っ張り癖・けいれん・目のトラブル…ワンコの“肝”ケア
  15. 将来、歩けるシニアに育てたい。今から始める“脾”ケア
  1. 格闘技×筋膜リリース 達磨・易筋経に学ぶ“しなやかな強さ”の秘訣
  2. 梅雨は“脾”が弱る季節?飼い主とペットに訪れる体調のゆらぎと対処法
  3. “硬い筋肉”では勝てない?トップアスリートが取り入れる筋膜ケアと循環改善術
  4. 引っ張り癖・けいれん・目のトラブル…ワンコの“肝”ケア
  5. Vol.13 筋膜リリースとストレッチングって同じ?
  6. SDMA検査で「経過観察」と言われたワンコに、今こそ東洋医学的ケアを
  7. うちの子への “どうしたの?” は、あなた自身への問いかけだった…
  8. Vol.19 旧ソ連の遺産
  9. Vol.29 有酸素能力そして膜
  10. 「疲れてるのが普通」なんてもうやめよう。筋膜リリースの新提案
  11. 【体験者の声】二人でいつまでも元気に過ごせるって幸せ。
  12. Vol.24 新陳代謝のお話
  13. 夏の喉トラブルを防ぐ!“筋膜×体液循環”で変わる不調対策
  14. Vol.5 これが難しい「その日の疲れはその日の内に。」
  15. ワンコの健康は“毛”より“巡り”?トリマーが伝えたいボディケアの重要性