“ごめんね”より“ありがとう”で変わるワンコの体調とココロ

「うちの子、ごめんねばかり言ってる気がする…」

そんな飼い主さん、多いのではないでしょうか?

たとえば留守番をさせた時、忙しくて散歩が短くなった時、ワンコの目を見て「ごめんね」とつぶやく——。それは優しさからの行動かもしれません。でも、その言葉が無意識に“罪悪感”の連鎖を生んでいるとしたら?

実は今、海外の動物行動学やペットセラピーの分野で注目されているのが「感謝の言葉」と「ポジティブなエネルギー」がワンコのメンタル・体調に及ぼす影響です。

この記事では、「ありがとう」がもたらす科学的な効果と、日常にどう活かせるかを解説。“ごめんね”より“ありがとう”が増えたとき、ワンコとの関係がどう変わるのか?その秘密に迫ります。

あなたの声と言葉が、ワンコの健康をつくる。そう信じられるようになる、心温まる実践知をご紹介します。

ポジティブな言葉がワンコの体調と絆を深める

ワンコは飼い主の“言葉の周波数”を敏感に感じ取る生き物と言われています。

「ありがとう」といったポジティブな言葉をかけ続けることで、ワンコは安心し、自己肯定感(=存在への安心感)を得ることができます。そしてそれは、ストレスホルモンの減少や心拍の安定、食欲の改善など、目に見える体調の変化へとつながっていきます。

一方、「ごめんね」「ダメだったね」といったネガティブな言葉が多いと、飼い主自身が罪悪感にとらわれ、表情や雰囲気が硬くなります。それはワンコにとっても“緊張”を感じる空気になり、落ち着かない日々につながってしまうのです。

つまり、“ごめんね”ではなく“ありがとう”を増やすことは、ワンコの心と体を癒すと同時に、飼い主自身のメンタルケアにもつながるポジティブな連鎖なのです。

このあと、「なぜ“ありがとう”が体調を変えるのか?」という科学的な理由を、動物行動学や心理学の視点から解説していきます。

なぜ“ありがとう”がワンコの体を癒すのか

オキシトシンの分泌と“言葉の力”

 「ありがとう」という言葉をかけると、私たちの脳内では“幸せホルモン”とも呼ばれるオキシトシンが分泌されることが分かっています。驚くべきことに、この現象は人間だけでなく、ワンコ達にも起こるのです。

2015年、麻布大学と日本の研究チームによる共同研究では、「飼い主と見つめ合っただけで犬と人間の双方のオキシトシンが上昇した」という結果が報告されています。これは“愛着ホルモン”とも呼ばれ、信頼や親密さを築く働きを持っています。

つまり、「ありがとう」「大好きだよ」といった前向きな言葉は、ワンコの心をほぐし、体の中から健康をサポートする鍵になるのです。

“ごめんね”がもたらす飼い主の心理的影響

 「ごめんね」を繰り返す飼い主は、自分を責める気持ちが強くなりやすいです。
そうすると、無意識に表情が沈んだり、声のトーンが暗くなったりします。

犬は人間の表情や声の抑揚を読む天才です。そのため、飼い主の緊張や罪悪感はすぐに伝わり、ワンコも不安な気持ちになります。

感情は“空気感染”します。
ポジティブな言葉は明るいエネルギーを生み、ネガティブな言葉は無意識のうちに空気を沈ませてしまう。

海外では“ポジティブトーク”を日常ケアに 

アメリカやドイツでは、犬との関係性を深める手段として「ポジティブトーク」が教育プログラムに組み込まれています。

例:

  • ごはんの前に「いつもありがとうね」
  • 玄関で「今日もお利口だったね」
  • 寝る前に「一緒にいてくれてありがとう」

このように、言葉をかけることが“心のごはん”とされ、スキンシップと同じくらい大切にされているのです。

ありがとうで始める犬とのポジティブ習慣

“ありがとう”を日常に組み込む3つのシーン 

ワンコとの暮らしには、「ありがとう」を伝えるタイミングがたくさんあります。
以下は、すぐに始められる3つのシーンです。

  1. ごはんの前後
     「ごはん食べてくれてありがとうね」「おいしく食べてえらかったね」と声をかけることで、食べることへの前向きなエネルギーが育まれます。
  2. 散歩の後 
    帰宅後に「今日も一緒に歩いてくれてありがとう」と伝えると、ワンコは“自分が飼い主の役に立っている”という感覚を持ちます。
  3. おやすみ前のひととき 
    「今日も一日ありがとう。おやすみ」と語りかけることで、安心感と信頼が深まり、ぐっすり眠れる夜へとつながります。

飼い主の“感謝日記”も効果的 

飼い主自身が、毎日ワンコへの「ありがとう」を書き出してみるのもおすすめです。

たとえば:

  • 「散歩中、目が合ってしっぽを振ってくれた」
  • 「じっと待ってくれてありがとう」
  • 「存在がいるだけで救われてる」

書くことで意識が変わり、言葉の質も自然とポジティブになっていきます。これは“自分の心を整える”セルフセラピーにもなります。

ポジティブ言語を使った“声かけケア”の実践例 

アメリカのある動物病院では、治療や入院中の犬に対して、スタッフ全員が「やさしい言葉をかける」ルールを設けています。

「がんばってるね」
「よくきたね」
「ありがとうね」といった声かけによって、回復が早まる傾向が見られたという報告も。

これは動物病院だけでなく、家庭内でも実践できます。
特に、病気療養中のワンコや高齢犬にとって、飼い主の前向きな言葉は、薬以上の効果をもたらす“心の栄養”となるのです。

ありがとうがつなぐ、信頼と健康のループ

“ありがとう”は、単なる言葉ではありません。
それは「あなたの存在が大切だよ」というメッセージであり、信頼のしるしです。

この小さな言葉が持つ力は、科学的にも明らかになってきています。
そしてその効果は、ワンコだけでなく、飼い主自身の心にも及びます。

飼い主が感謝の気持ちを持つことで、ワンコとの接し方が変わり、関係性もより深く優しいものになっていく──そんな“ありがとうの循環”が、心と体の健康を支えるのです。

ポジティブな言葉がもたらす変化は、毎日のほんの一言から始まります。「ごめんね」より「ありがとう」を選ぶことで、あなたとワンコの毎日は、もっと穏やかで安心に包まれていくでしょう。

あなたの言葉が、ワンコの心と体を整える

“言葉の力”は、私たちが思っている以上に大きいものです。

飼い主が何気なく発する「ありがとう」「大好きだよ」という言葉は、ワンコにとっては生きる安心感や心の安定を与える栄養のようなもの。そしてその優しさは、言葉をかけた飼い主自身にも返ってきます。

現代は情報過多な時代。忙しさに追われ、ついイライラしたり、“もっとこうすればよかった”と後悔ばかりに目を向けがちです。

でも、そんな時こそ「ありがとう」の言葉を声に出してみてください。

毎日の中で「ありがとう」を意識的に使うことで、自分の心の在り方も変わっていきます。飼い主の落ち着きは、そのままワンコにとっての“安心できる空気”につながります。

犬は、言葉の意味そのものよりも、その“エネルギー”や“気持ち”を受け取って生きています。だからこそ、ポジティブな言葉を選ぶという意識が、健康と幸せへの第一歩となるのです。

「ありがとう」を届ける相手がいること。それは奇跡のようにありがたい日常です。今日、ワンコの顔を見て「ありがとう」と言ってみてください。その一言が、ふたりの未来をあたたかく照らしますように。

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