引っ張り癖・けいれん・目のトラブル…ワンコの“肝”ケア

「最近うちの子、引っ張り癖がひどくなった」
「お昼寝中にピクピクっとけいれんしていることが増えた…?」
「なんだか目が乾いている、濁っている気がする」

そんなふうに感じたこと、ありませんか?

実はこれ、東洋医学でいう“肝(かん)”の不調と深く関係している可能性があります。 春は特に肝のエネルギーが活発になり、過剰になるとさまざまな不調が現れやすくなります。

この記事では、引っ張り癖やけいれん、目のトラブルといった行動や身体のサインから、 “肝”の不調を見抜き、日常のケアで整えていくためのヒントをお届けします。

ワンコの引っ張り癖やけいれんは“肝”のケアで改善できる可能性がある

ワンコの引っ張り癖やけいれん、目の乾きは、“肝”のサインかもしれません。

東洋医学では「肝は筋をつかさどる」とされており、筋肉の収縮や柔軟性、興奮状態の制御に関わっています。 また「肝は目に開く」と言われ、目の潤いや輝きも肝の働きに左右されると考えられています。

つまり、引っ張り癖・けいれん・目の乾きやにごりといったサインは、 ワンコの“肝の疲れ”や“気の滞り”を示している可能性があるのです。

しっかりと肝を整えるケアを取り入れることで、 落ち着きや筋肉の柔軟性、目の潤いまでも改善されることが期待できます。

理由:肝は筋・神経・感情・目に関わる“コントロールセンター”

東洋医学の視点

東洋医学では、肝は「疏泄(そせつ)」という働きによって、 気・血の流れをスムーズにし、全身のバランスを整える役割を担っています。

その肝が疲れたり、気が滞ったりすると、以下のような不調が現れるとされています:

  • 筋肉のけいれん・硬直(=引っ張り癖)
  • 情緒不安定(=吠えやすい、落ち着かない)
  • 目のトラブル(=乾き、濁り、瞬きの増加)

春は肝のエネルギーが高まりやすく、過剰になると“イライラ”や“緊張”といった症状が現れやすくなります。

筋肉・神経・目との関係性

現代の解剖学や生理学においても、筋肉のけいれんや引っ張り癖には「交感神経の過活動」が関係しているとされています。 ストレスや緊張状態が続くと、筋肉は常に“緊張モード”になり、柔軟性を失いやすくなります。

また、目の乾きや濁りには「涙の分泌低下」「酸化ストレスの蓄積」などが関連し、 これも自律神経のバランスの乱れと深く関わっていることがわかっています。

日常にできる“肝ケア”の実践

日常に見られる“肝”の不調サイン

  • お散歩中にリードを強く引っ張る(興奮・筋緊張)
  • 足先をしきりに舐める(神経の過敏反応)
  • 目やにが多い・瞬きが多い(目のうるおい不足)
  • 夜になると落ち着きがなくなる(自律神経の乱れ)

3つのケアアプローチ

① タッチケアで肝経を刺激する

  • 前足の内側(肝経ライン)〜胸に向けて撫でる
  • リズムはゆっくり、深呼吸と合わせるのが効果的

② 食事で“肝血”と“巡り”をサポート

  • 小松菜・春菊・レバー・黒ごま・クコの実など
  • 酸味・緑・温かいものを意識するとよい

③ お散歩で“落ち着いた刺激”を与える

  • 朝の静かな時間に、一定のテンポで歩く
  • においを嗅がせる“気の発散”も重要なケアのひとつ

裏付けとなるデータや研究

  • 自律神経の働きは「肢体の緊張度」と相関する(京都大学・犬の脳波研究)
  • 涙液量はストレス負荷時に約30〜40%減少する(日本獣医生命科学大学)
  • 犬の筋緊張と交感神経活動は行動学的に一致(米国臨床行動学会)

肝を整えることが、ワンコの安心と快適をつくる

“引っ張り癖”や“けいれん”“目の乾き”など、 つい見過ごしがちなワンコのサインは、実は“肝”の声かもしれません。

日常の中で、肝の気を巡らせ、肝血を補い、心と身体をやさしく整えること。 それこそが、ストレスに負けない快適な毎日を作る第一歩になります。

肝を整えれば、ワンコはもっと穏やかに、もっと健康に。
あなたのやさしいケアが、ワンコにとって何よりの“巡り”になります。

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